どんな作品か
ジ・オフィスは、ある事務所を記録映像の制作陣が撮影しているという設定で作られたコメディです。イギリスのBBCで先に作られた同名のシリーズを、アメリカの環境に合わせて作り直したもので、2005年から2013年まで放送され、以後の職場コメディの基準の一つになりました。
疑似ドキュメンタリー形式の職場コメディです。カメラの存在が笑いになる仕組み、居心地の悪さを支える構成、シーズンを重ねて変わったこと、英語学習での使い方をまとめました。
ジ・オフィスは、ある事務所を記録映像の制作陣が撮影しているという設定で作られたコメディです。イギリスのBBCで先に作られた同名のシリーズを、アメリカの環境に合わせて作り直したもので、2005年から2013年まで放送され、以後の職場コメディの基準の一つになりました。
この作品の中心となる仕掛けは、登場人物がカメラの存在を知っているという点です。気まずい場面で人物がカメラのほうをちらりと見るだけで、せりふなしに笑いが生まれます。また面談の場面を挟み込み、人物が今した行動を自分で説明させ、その説明と実際の行動の差がまた笑いになります。
このコメディの笑いは、かなりの部分が気まずく困った状況から生まれます。普通の編集なら切るはずの沈黙をそのまま置き、観客にその時間を耐えさせる方法です。序盤の季はこの程度が強く、入りにくいという反応もよくあります。回が進むにつれて人物への愛着が積み重なり、同じ場面が違って読める構成です。
アメリカの地上波の編成の周期に合わせて1季が20話前後で作られ、何年にもわたって続きました。その過程で主要な制作陣と出演者が変わり、作品の雰囲気も一緒に変わりました。特定の季から評価が分かれる理由として、この変化がしばしば挙げられます。
序盤の数話は以後とかなり調子が違うので、第1話で判断すると作品全体とは違う印象になります。一話完結に近い構成なので途中から見ても追えますが、人物どうしの関係は積み重なるため、順に見るほうが理解しやすくなります。イギリスの原作とは人物の構成も結末の性格も違います。
イギリスの原作はリッキー・ジャーヴェイスとスティーヴン・マーチャントが生み出し、アメリカ版はグレッグ・ダニエルズが脚色して率いました。舞台はペンシルベニア州スクラントンにある製紙会社の支店の事務所で、スティーヴ・カレルが空気が読めず認められたがっている支店長の役を演じ、作品の顔になりました。アメリカ版はイギリス版の形式と初期の設定を借りましたが、シーズンを重ねるにつれて人物たちに温かい面を与え、独自の色を作り上げました。イギリス版を先に見ていれば、同じ形式が文化によってどう変わるのかを比べる楽しみがあります。
事務所という狭い空間に性格のまったく違う社員が集まっていることが笑いの土台です。主要な人物を追うだけでも十分ですが、背景にいる脇役たちもシーズンを重ねるにつれてそれぞれの個性が積み重なるので、見直すときは画面の隅の反応を見る楽しみが大きくなります。最初は次のいくつかの関係だけをつかんで始めれば大丈夫です。
職場を舞台にした日常会話が多いので、仕事の英語や事務所での表現を身につけるのに向いています。特に人物がカメラに向かって話す面談の場面は、一人が比較的はっきり話すので、聞き取りの練習に使いやすくなっています。ただしこの作品の笑いは皮肉な口調や、わざと気まずくする状況から多く生まれるので、文字どおりの意味と実際の意図が逆になっていることがよくあります。表情と文脈を一緒に見ながら「なぜおかしいのか」を理解することが、そのまま英語の微妙な意味合いを身につける練習になります。実際の職場でそのまままねると失礼に聞こえる表現も多いことは覚えておきましょう。